高齢になると、眠りは浅くなっていきます。夜中に目を覚ます回数も増えますし、本人にとってつらいだけでなく、そばで介護する家族の負担にもなっています。この記事では、夜に眠れなくなる原因と、実際にできる対応をまとめました。
夜に眠れなくなる理由
年齢を重ねると、眠りを促すホルモン(メラトニン)の量が減っていきます。そのぶん眠りが浅くなって、途中で目が覚める回数も増えていくといわれています。外に出る時間や体を動かす時間が少なくなると、夜になっても眠くならないことがあります。頻尿や痛み、かゆみ、息苦しさといった体の不調が、眠りを妨げる場合もあります。
薬の中には、眠りを妨げたり尿の量を増やしたりする作用を持つものもあります。それが、夜中に目が覚める理由になっていることもあるようです。認知症があると、昼と夜の感覚が逆転しやすくなります。そこに孤独感や不安が重なって、さらに眠れなくなる方もいます。
薬に頼らずできる工夫
不眠への対応では、まず薬を使わない工夫から試してみることが多いようです。それでも良くならないときに、医療への相談を考えます。
毎日同じ時間に起きて、同じ時間に寝るようにするだけでも、体のリズムが整いやすくなるといわれています。日中はできるだけ日光を浴びるようにします。カーテンを開けるだけでも、短い散歩に出るだけでも十分な場合があります。昼寝をするときは30分ほどまでにして、午後の早い時間に済ませておくと、夜も眠りやすくなります。
軽い体操やストレッチ、家事や趣味で体を動かす時間を増やすと、日中に心地よい疲れを感じやすくなって、夜も自然に眠くなっていくようです。
寝室の温度や湿度を快適に保つことも、眠りやすさに関わってきます。就寝前のカフェインやアルコール、テレビやスマートフォンの強い光は、控えたほうがよいようです。就寝前の水分の量を少し減らすことも、夜中に何度も起きることを減らす工夫になります。
痛みやかゆみが原因で眠れないときは、まず原因を確かめたうえで、主治医に相談してみます。夜中にトイレのために起きることが多いなら、寝室からトイレまでの通路を歩きやすくしておくと、移動のときに転びにくくなります。段差をなくす、足元に照明を置く、といった工夫だけでも効果があるようです。それでも回数が減らないときは、泌尿器科への相談も選択肢の一つです。
気持ちが安定しているかどうかも、眠れるかどうかに関わってくるようです。不安や孤独を感じやすい方には、日中に誰かと話す時間を増やすと、気持ちが落ち着きやすくなります。眠れないこと自体を責めるのではなく、「眠れなくても体は休んでいる」と伝えると、本人の気持ちが和らぐこともあるようです。認知症のある方には、時計やカレンダーを見える場所に置いたり、明暗にメリハリをつけたりする工夫が、昼夜の区別をつけやすくしてくれるようです。
見守る側が気をつけたいこと
無理に寝かせようとすると、かえって本人に焦りが伝わって、目を覚ましてしまうことがあるようです。夜中に一人で歩くときは、転びやすくもなります。足元の照明や手すり、履き慣れた履物があれば、そのリスクを減らせます。
いつ眠れて、いつ目が覚めたか、簡単に記録しておくと、原因を考えるときや、医師に相談するときの手がかりになります。「眠れない」という言葉の裏に、痛みや息苦しさ、気分の落ち込みが隠れていることもあるので、何度も同じ訴えが続くときは、少し立ち止まって考えてみるとよさそうです。
医療機関に相談する目安
次のような様子があるときは、自己判断で様子を見続けず、医師に相談します。
- 不眠が2週間以上続き、日常生活に支障が出ている
- いびきの後に呼吸が止まる、日中に強い眠気がある(睡眠時無呼吸の可能性)
- 気分の落ち込みや意欲の低下がある
- 何らかの薬を服用中で、その影響が疑われる
- 夜間に徘徊や大声、暴力的な言動など、いつもと違う様子が見られる
睡眠薬が使われることもあります。ただし高齢者では効果の出方に差があって、ふらつきや転倒につながることもあるため、医師とよく話し合いながら量や種類を決めていくことが多いようです。
まとめ
高齢者が夜眠れないのは、一つの理由だけでなく、いくつかが重なって起こることが多いようです。生活リズムや日中の過ごし方、寝る前の環境の見直しのほか、体の不調や気持ちの面にも目を向けることが大切かと思います。それでも良くならないときや他の症状もあるときは、早めに医療機関に相談するようにしてみてください。
