高齢になると、体調を崩しても体温に変化が出にくくなることがあります。そのため風邪や肺炎にかかっていても高い熱が出ないこともありえます。また寒い時期には、自覚がないまま体温が下がりすぎてしまうこともあります。
一般的にいう「37度以上あるかどうか」という基準だけで判断すると、大切な体調の変化を見落としてしまう可能性があります。日頃からその方の平熱を把握し、数値だけでなくいつもと違う様子に気づくことが何より重要です。
「平熱との差」を意識する
高齢の方は、普段の体温が低め(35度台など)であることも珍しくありません。そのため、37度を超えていないからといって大丈夫とは言い切れません。もともとの平熱より1度近く高くなっているときは、体の中で何らかの異変が起きている可能性があります。
たとえば平熱が35.5度の方なら、36.5度であっても体調の変化として注意深く見守る必要があります。元気な時に朝・昼・晩と平熱を測っておくと、いざという時の判断にとても役立ちます。
発熱が目立たない時のサイン
高齢者の場合、感染症にかかってもはっきりとした高熱が出ないケースがあります。熱はそれほど高くなくても、「いつもより元気がない」「食欲が落ちている」「なんとなくぼんやりしている」「呼吸が浅い」「咳が増えた」といった変化が現れることがあります。
体温計の数字だけを見るのではなく、顔つきや動作、食事、会話の様子など、全体的な変化をあわせて確認することが大切になります。
「低体温」への注意
年齢を重ねると、体温を一定に保つ力も弱くなります。寒い日には屋外だけでなく、家の中にいても体が冷えすぎてしまうことがあります。
厚着をしていても、暖房が不十分な部屋で長く過ごしたり、食事量や水分摂取が不足したりすると、内側から体温が下がってしまいます。特に痩せている方や持病がある方は、冷えの影響を強く受けやすいため注意が必要です。
気をつけたい「冷え」の現れ方
体温が下がっている時は、単に寒いと訴えるだけとは限りません。「声に張りがない」「反応が鈍い」「手足が氷のように冷たい」「動きが緩慢」「ずっと眠そうにしている」といった様子から異変に気づくこともあります。
体温が著しく下がると、意識がはっきりしなくなることもあります。こうした兆候が見られたら、毛布や上着で速やかに体を温めながら、早めの受診を検討しましょう。
日々の見守り方
体温の変化を確認する際は、数字そのものを追うよりも「普段の様子と比べる」ことを意識します。平熱、食事の量、顔色、活動量、会話の受け答えなどをセットで観察しておくと、小さな変化に気づきやすくなります。
朝一番だけでなく、冷え込みが厳しい時間帯や、少し様子が変だと感じた時にこまめに測ってみるのも有効かと思います。
家庭でできる予防と対策
体温の急激な変化を防ぐには、「室温の管理」「適度な水分補給」「欠かさない食事」の3つが基本です。寒い時期は、部屋ごとの温度差を小さくすることが体への負担を減らすコツです。
居間だけでなく、トイレや脱衣所の寒さ対策も忘れないようにしましょう。また、衣服や寝具を季節に合わせて調整し、冷え込みやすい時間帯に無理な活動をさせない配慮も大切です。
受診を検討するタイミング
平熱より明らかに高い状態が続く、咳や息苦しさがある、食事や水分が摂れない、あるいは意識が朦朧としているといった場合は、早急に医療機関へ相談してください。
高齢者の場合、高熱がなくても肺炎などの深刻な感染症が隠れていることが多々あります。また低体温であっても、ぐったりしている、体がなかなか温まらないといった状態であれば、早めの受診が必要になります。

