短期入所サービス(ショートステイ)は、要介護者が一時的に施設へ宿泊し、介護やリハビリなどの支援を受ける制度です。家族の介護負担を軽減したり、在宅生活の継続を支える大切な役割を担っています。ここでは、ショートステイの仕組みや種類、利用の流れ、費用などを詳しく見ていきます。

ショートステイとは
ショートステイは、介護保険サービスのうち「施設系サービス」に位置づけられています。
要介護認定を受けた方が、数日から数週間のあいだ介護施設に宿泊し、食事・入浴・排泄などの日常生活援助や機能訓練を受けることができます。
主な目的は次の通りです。
- 家族の休養・冠婚葬祭・旅行などで一時的に介護が難しいときの代替支援
- 在宅介護を継続するための生活リズムの調整
- 退院後の一時的な受け入れや、在宅復帰の準備期間としての利用
サービスの種類
ショートステイには、利用目的や提供体制によって次の2種類があります。
短期入所生活介護
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や指定短期入所施設などで行われるサービスです。
主に日常生活の支援が中心で、家庭に近い雰囲気の中で過ごせます。
主なサービス内容
- 食事、入浴、排泄などの介護
- 健康チェック
- レクリエーションや生活リハビリ
- 機能訓練(軽度の運動や体操など)
短期入所療養介護
介護老人保健施設や医療機関併設型施設などで提供されるもので、医療的ケアを必要とする方が対象です。
主なサービス内容
- 医師・看護師による健康管理
- 理学療法士などによるリハビリテーション
- 医療的処置(点滴、褥瘡ケアなど)
- 生活援助や介護
介護予防サービス(要支援者向け)
要支援1・2の方を対象とした「介護予防短期入所生活介護」「介護予防短期入所療養介護」もあります。
内容は基本的に同じですが、自立支援の視点が重視され、リハビリや生活動作の維持向上を目的としています。
利用の流れ
- ケアマネージャーへの相談
利用希望がある場合は、担当ケアマネージャーに相談します。空き状況や施設の種類を踏まえて、最適な施設を提案してもらえます。 - 事前面談・契約
施設職員が本人や家族と面談し、健康状態・生活習慣・介護内容を確認します。そのうえで利用契約を結びます。 - 利用開始
送迎サービスを利用できる場合も多く、送迎付きで自宅と施設間を往復できます。滞在期間は原則30日以内が目安です。 - 利用後の報告
施設から利用報告書が届き、今後のケアプランに反映されます。
費用の目安
費用は、介護度・施設種別・部屋のタイプなどにより異なります。
自己負担は 1〜3割(所得に応じて) で、以下のような費用がかかります。
- 介護サービス費(介護報酬単価に基づく)
- 居住費(部屋代)
- 食費
- 日常生活費(おむつ代、レクリエーション費など)
例:要介護2・個室・7日間利用の場合
おおよそ 2万〜4万円前後(自己負担1割の場合)
医療的ケアを含む「短期入所療養介護」は若干高めになります。
利用上の注意点
- 施設によって受け入れ条件(医療処置の可否、送迎範囲など)が異なります。
- 混雑期(お盆・年末年始)は早めの予約が必要です。
- 緊急利用の場合は、ケアマネージャーや地域包括支援センターが調整してくれる場合もあります。
- 介護保険の支給限度額を超えると自己負担が増えるため、利用回数には注意が必要です。
まとめ
ショートステイは、家族の休息や一時的な介護支援だけでなく、利用者本人のリハビリや社会交流の機会にもなります。
在宅介護を続けるうえで大きな支えとなるサービスですので、目的に合わせて「生活介護型」か「療養介護型」かを選ぶのがよいかと思います。
参考
- 厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1213(令和6年度介護報酬改定関連)」
- 厚生労働省:介護保険制度の概要
- 介護サービス情報公表システム

