認知症について

認知症という言葉を聞くと、「物忘れがひどくなる状態」と思い浮かべる方も多いかもしれません。ただ、実際には単に忘れっぽくなるだけではありません。認知症になると、記憶だけでなく、判断する力や順番どおりに進める力にも影響が出ます。そのため、毎日の暮らしの中で、少しずつ困ることが増えていきます。家族としては、病名だけを気にするより、本人の生活にどんな変化が出ているかを落ち着いて見ていくことが大切になってきます。

認知症とは

認知症は、脳の病気や障害などによって、これまでできていたことが難しくなり、日常生活に支障が出ている状態をいいます。たとえば、買い物の内容が偏る、支払いがうまくできない、薬を飲み忘れる、外出先で戸惑うといったことが続くようになります。本人は困っていても、うまく言葉にできないことがあります。そのため、家族が先に変化に気づくことも少なくありません。

年齢による物忘れとの違い

年齢を重ねると、名前がすぐに出てこないことや、物を置いた場所を忘れることはあります。ただ、その場合は、時間がたつと思い出せたり、「忘れていた」と自分で分かったりすることがよくあります。

一方で認知症では、出来事そのものを覚えていないことがあります。朝ごはんを食べたこと自体を忘れる、同じことを短い間隔で何度もたずねる、支払いをしたこと自体を覚えていないといった形です。家族が違いを見るときは、忘れた回数だけを見るのではなく、そのことで生活に支障が出ているかどうかを見るほうが分かりやすいです。

家族が気づきやすい変化

家族が最初に気づきやすいのは、同じ物を何度も買う、冷蔵庫に古い食品が増える、財布や通帳の置き場所が分からなくなる、薬の飲み忘れが続く、慣れた道で迷うといった変化です。服装が季節に合わなくなることもあります。

また、性格が変わったように見えることもあります。以前より不安が強くなる、急に怒りっぽくなる、人を疑う言葉が増えるといった変化です。ただ、その場だけを見て決めつける必要はありません。同じような変化が何度も続いているかどうかを見ていくことが大切になります。

認知症初期に家族が気づくサイン

暮らしの中で起こる困りごと

認知症になると、本人が困っていることをうまく伝えられないまま、家族の負担が先に大きくなることがあります。家族が困るようになることとしては、お金の管理、薬の管理、火の元、受診の付き添い、電話や訪問販売への対応などがあります。家族が一つひとつをその場で支え続けると、疲れもたまりやすくなります。

そのため、家族は「まだ何とかなる」と思っている段階でも、支援に受けるための準備を始めておいたほうが安心です。困りごとが大きくなってから動くより、少し余裕があるうちに相談したほうが、その後の対応も落ち着いて進められるからです。

認知症かなと思ったときは

家族が気になる変化に気づいたときは、まず、どんな場面で困ったのかを書き留めておくと後で役立ちます。「薬を飲み忘れた」「同じ買い物を三日続けた」「慣れた道で迷った」など、具体的に書いておくと、相談先にも伝えやすくなります。

そのうえで、病院での受診や相談への段取りを考えます。相談先としては、かかりつけ医、地域包括支援センター、もの忘れ外来などがあります。どこから動けばよいか分からないときは、地域包括支援センターに相談すると、今の状況に合った進め方などを教えてもらえます。

初めてもの忘れ外来に連れて行くときのプロセス

家族の接し方

家族が本人に接するときは、正しさを押し通すより、不安を減らすことを優先したほうがうまくいくことが多いです。本人の話が事実と違っていても、家族が強く否定すると、本人の不安や怒りが強くなります。その結果、家の中の空気が悪くなり、話し合いそのものが難しくなります。

家族は、まず本人の気持ちを受け止め、そのあとで安心できる方向に話を戻すほうが落ち着いて関われます。家族が毎回きちんと説明しようとすると、それだけで疲れてしまいます。言い争いになりやすい話題では、家族が一度引いて、別の言い方や別の時間に切り替えることも大切になってきます。

物忘れが進んだ家族との安心な会話のしかた

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