訪問介護とは、ホームヘルパー(訪問介護員)が利用者の自宅を訪問し、日常生活に必要な支援を行う介護保険サービスの一つです。高齢者が住み慣れた地域で自立した生活を続けられるよう、必要な支援を提供することを目的としています。介護保険制度に基づくサービスであり、要介護認定を受けた方が対象です。
訪問介護の対象者
訪問介護を利用できるのは、要介護1~5の認定を受けた方です。要支援1・2の方は、訪問型の介護予防サービス(地域支援事業)として同様の支援を受ける仕組みがありますが、内容や運営主体が異なります。
また、訪問介護を希望する場合は、ケアマネージャーが作成するケアプランに組み込まれている必要があります。医療的な管理が必要な場合は訪問看護との使い分けが求められます。
訪問介護のサービス内容
訪問介護には大きく分けて「身体介護」「生活援助」「通院等乗降介助」の3つのサービス区分があります。
身体介護
- 入浴、洗髪、清拭(体を拭く)
- 排泄介助、おむつ交換
- 食事介助、服薬介助
- 更衣介助、体位変換(寝たきりの人の体の向きを変える)
- 通院や外出時の付き添い(医療機関内の介助は不可)
身体的な負担が大きい動作を支援するサービスです。利用者の自立を促しつつ、安全で快適な生活を維持するために提供されます。
生活援助
- 掃除、洗濯
- 食事の準備、後片付け
- 買い物代行
- 衣類の整理、布団干し など
生活援助は、利用者本人の日常生活に必要な家事を代行または補助するサービスです。家族が同居している場合は、その家族が対応できるかどうかが利用の判断材料になります。
通院等乗降介助
- 介護タクシーなどを利用した通院の際の乗車・降車時の介助
- 車椅子の操作や病院内の受付補助(介助保険の範囲内)
このサービスは、単なる送迎ではなく、介護職員が乗降を安全にサポートすることが前提とされています。
訪問介護では頼めないこと
訪問介護は、あくまで「介護保険の範囲内で認められた行為」に限定されます。以下のような内容は原則として対応できません。利用者やその家族ができること、家族に関わることは頼めないと覚えておくのが良いです。
- 利用者本人以外の家族の家事(食事、洗濯、掃除など)
- ペットの世話(散歩、エサやりなど)
- 庭の草むしり、家の修繕、大掃除
- 金銭管理や預金引き出しの代行
- 医療行為(点滴、注射、傷の処置など)
サービス提供の際は、事前にケアマネージャーを通じて範囲を確認しておくことが大切です。訪問介護員は法的な制約の中で活動しており、できることとできないことが明確に分かれています。
訪問介護を利用する際のポイント
- サービスの内容・時間・頻度はケアプランに基づいて提供される
- 状況の変化(体調悪化、家族の離職など)があれば、ケアプランの見直しを依頼できる
- 訪問介護員とのコミュニケーションも大切。気になることがあれば遠慮せずに伝える
- 医療的ケアや精神的ケアが必要な場合は、訪問看護や他のサービスと連携することも考慮する
【参考資料】
- 厚生労働省「訪問介護のサービス概要」
- 各市町村の介護保険ガイドライン