在宅介護での防犯・防災対策を見直す

在宅介護では、移動のしにくさがある分、災害や犯罪の影響を受けやすい場面があります。大がかりな準備を一度で整えるのは大変ですが、住まいの危険を減らし、連絡手段と支援につながる道筋を用意しておくと、いざという時の不安が少し和らぎます。ここでは、防災と防犯を「暮らしの安全」としてまとめて見直す考え方を整理してみました。

まず押さえておきたい考え方

「避難する」だけでなく「在宅で過ごす」可能性も前提にする

災害時は避難所へ移動するイメージが強いかもしれませんが、状況によっては自宅で過ごす「在宅避難」になる場合もあります。在宅避難は、生活物資や情報が届きにくくなることもあるため、日頃から「自宅にとどまる場合の準備」も含めて考えておくと安心です。

本人の自立を支えつつ、家族の負担を増やさない設計にする

防災・防犯の対策は、本人が使いこなせない仕組みを増やすほど、家族の管理負担が増えてしまうことがあります。操作が少ないもの、点検が簡単なもの、継続できるものから整えていく方が続けやすいと思います。

防災 在宅介護で優先したい備え

家具の転倒・落下対策を「動線」から見直す

地震などでは、家具の転倒や落下が避難の妨げになることがあります。とくに、寝室からトイレまで、玄関までといった日常の動線上に背の高い家具や不安定な収納がある場合は注意が必要です。家具を固定する、重いものは低い位置に置く、通路を広めに確保するといった基本から見直すと、転倒リスクの低減にもつながります。

「在宅避難」になった時の情報と支援につながる準備

在宅避難になった場合、家の中で過ごしていても支援を受けられるように、自治体の情報入手手段(防災無線、自治体サイト、SNS、配布物など)を家族で共有しておくことが役立ちます。また、在宅避難者に対して自治体がどのように安否確認や物資支援を行うかは地域によって異なるため、平時のうちに確認しておくと安心です。

備蓄は「介護の必需品」から逆算する

備蓄というと食料や水が先に浮かびますが、在宅介護では介護の必需品が欠かせません。たとえば、常用薬、衛生用品、使い捨て手袋、清拭用品、紙おむつ等、本人の状態に合わせて不足すると困るものから優先して揃えると、準備の抜けが減りやすいです。薬は服薬情報が分かる形(お薬手帳の写しなど)で整理しておくと、避難時にも説明がしやすくなります。

避難行動要支援者名簿は「名簿を見に行く」ではなく「制度と手続きを確認する」

避難行動要支援者名簿は、災害時に自力での避難が難しい方を支援につなげるための仕組みですが、名簿の内容が誰でも見られるわけではありません。個人情報として取り扱いが定められており、提供範囲や平常時の運用は自治体のルールに沿って管理されます。

そのため、備えとして有効なのは「名簿の制度があるか」「対象になりそうか」「登録手続きはどうか」「情報がどこまで共有されるか」を自治体窓口や地域包括支援センター等に確認しておくことかと思います。本人や家族の意向も踏まえ、無理のない形で相談しておくとよいと思います。

防災 火災・停電など生活事故への備え

住宅用火災警報器と、聞こえにくさへの配慮

火災は災害と同じくらい「ある日突然」起こり得ます。住宅用火災警報器は住宅防火の基本の一つで、定期的な点検や電池切れへの注意も必要です。また、高齢者や耳が聞こえにくい方には、音や光で知らせる補助装置の活用が紹介されています。導入する場合は、本人の状態に合わせて「気づける」形に寄せると安心につながります。

停電時の生活を想定しておく

停電が起きると、照明、冷暖房、インターホン、スマートフォンの充電など、生活が一気に難しくなることがあります。懐中電灯や電池、モバイルバッテリーなどの基本に加え、夜間の移動が必要な方は足元灯の代替も考えておくと安心です。

防犯 在宅介護で増えやすいリスク

特殊詐欺・強盗等の「自宅に現金を置く」リスク

高齢者が自宅に現金を保管していると、それを狙った強盗・窃盗や特殊詐欺につながるおそれがあることが指摘されています。金融機関等も含めた啓発が行われているため、現金の置き場所や金額の考え方を家族で共有し、必要以上の現金を手元に置かない運用に寄せていくことが一つの対策になります。

電話・訪問の“入口”を絞る

防犯対策は、まず「入ってこない仕組み」を作ることが重要だと思います。固定電話がある場合は、迷惑電話対策機能の活用や、知らない番号に出ない運用を家族で決めておくと、負担が軽くなります。訪問についても、インターホン越し対応を徹底し、本人だけで判断しないルールを作っておくと安心です。

鍵・照明など「侵入しにくい」状態にする

玄関や勝手口の施錠の習慣化、夜間の玄関周りの明るさ確保など、基本的な対策は地味ですが有効です。本人が忘れやすい場合は、張り紙よりも「鍵を閉める動線」を変える、家族が声かけできる時間帯を作るなど、暮らしに組み込みやすい形を検討するのがよいと思います。

家族の負担を増やさないための運用の工夫

連絡先と役割を一枚にまとめる

緊急時は、探すだけで時間が過ぎてしまいます。家族の連絡先、かかりつけ医、ケアマネジャー、地域包括支援センター、自治体窓口、近隣協力者などを一枚にまとめ、冷蔵庫など見つけやすい場所に置くと安心です。パソコンやスマートフォンにも同じ内容を保存しておくと二重化になります。

点検は「月1回の5分」くらいで回す

備えは、続かなければ意味が薄れてしまいます。電池、懐中電灯、火災警報器、防災バッグの中身、常備薬の残量などを、月に一度だけ短時間で確認する仕組みにすると、家族の負担が増えにくいです。季節の変わり目に合わせると忘れにくいかもしれません。

暮らしの安心は、少しずつ積み上げる形でも十分

在宅介護の防犯・防災対策は、完璧を目指すほど疲れてしまうことがあります。まずは動線の安全、連絡体制、火災予防、現金管理といった「効果が大きく、続けやすいところ」から整えていくと、現実的に進めやすいと思います。

困った時は、地域包括支援センターや自治体窓口に相談し、地域の仕組みを確認しながら、無理のない形を作っていくのがよいのではないかと思います。

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