訪問リハビリテーションは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの専門職が利用者の自宅を訪問し、身体機能や日常生活動作の維持・回復を目的としたリハビリテーションを行うサービスです。通所が難しい方でも、自宅で専門的なリハビリを受けられることが特徴です。
対象となる方
主に以下のような方が対象となります。
- 要介護認定または要支援認定を受けている方
- 病院や施設を退院・退所後、自宅での生活を再開した方
- 病気やけがの影響で生活機能が低下している方
- 寝たきりやその予備状態にあり、動作訓練が必要な方
要介護度に関係なく、ケアマネージャーが必要と認めた場合に利用可能です。
提供されるサービス内容
訪問リハビリでは、利用者の状態や目標に応じて、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士がそれぞれ専門的な支援を行います。
理学療法士が担当する内容
主に身体機能の回復や基本的な動作の訓練を行います。
- 筋力トレーニングやストレッチなどの身体機能訓練
- 関節可動域の維持・拡大
- 寝返り、起き上がり、立ち上がり、歩行などの基本動作訓練
- 転倒予防のためのバランス訓練
- 福祉用具(杖・歩行器など)の使い方指導
作業療法士が担当する内容
日常生活での動作や家事動作など、生活の質を高める訓練を中心に行います。
- 食事、排泄、入浴、着替えなどの日常生活動作(ADL)の訓練
- 調理や掃除などの家事動作(IADL)の訓練と助言
- 自宅の環境調整に関する助言(手すりの配置、動線の工夫など)
- 上肢機能(腕や手の動き)の訓練
- 生活リズムの再構築や社会参加への支援
言語聴覚士が担当する内容
言語機能や嚥下(えんげ)機能、コミュニケーションの支援を行います。
- 発語・言語理解・会話能力などのリハビリ
- 嚥下障害の評価と嚥下訓練
- 飲み込みやすい姿勢・食事形態の指導
- 認知機能に関連する訓練(言葉の記憶・注意の持続など)
- コミュニケーション支援(筆談、補助具の活用など)
利用までの流れ
- 主治医の診察・指示書の作成
- ケアマネージャーによるケアプラン作成
- 訪問リハビリ事業所と契約し、サービス開始
医師の訪問リハビリ指示書が必要になるため、かかりつけ医との連携が重要です。
利用料金と保険適用
訪問リハビリテーションは介護保険サービスのひとつで、原則1割〜3割の自己負担で利用可能です(所得により異なります)。
【費用の目安(1回40分程度)】
- 自己負担1割の場合:約300〜400円前後
※早朝・夜間や長時間のリハビリなどは加算あり
※要支援者向けには「介護予防訪問リハビリテーション」として提供されます。
医療保険との違い
基本的には介護保険が優先ですが、以下のような場合には医療保険で提供されることがあります。
- 要介護認定を受けていない
- 医師が特に必要と判断した場合(リハビリ計画書による)
医療保険と介護保険のどちらが適用されるかは、主治医とケアマネージャーに確認するのが安心です。
利用する際のポイント
- 目標設定:リハビリの目標(歩けるようになりたい、入浴できるようになりたいなど)を明確にしておきます。
- 家族と取り組む:介助の仕方や生活環境の整え方なども含め、家族と連携することが回復への近道になります。
- 継続性:無理のない頻度で定期的に継続することが効果につながります。