訪問看護は、看護師などの医療専門職が利用者の自宅を訪問し、療養生活を支援する医療保険・介護保険のサービスです。病気や障がいを抱えながら自宅で療養している方が、安心して暮らせるように、医師の指示に基づいて必要な看護やケアを提供します。
高齢者だけでなく、難病や障がいのある方、がん末期の在宅療養者なども対象となります。
訪問看護の対象者
以下のような方が対象になります。
- 要介護・要支援認定を受けている方(介護保険で利用)
- 年齢を問わず、在宅で療養が必要と医師が認めた方(医療保険で利用)
- 難病患者、小児慢性特定疾病の患者など
いずれも主治医による「訪問看護指示書」が必要です。
サービス内容
訪問看護では、利用者の状態に応じて、以下のようなサービスが提供されます。
健康状態の観察・管理
- 血圧、脈拍、体温、呼吸などの測定と記録
- 症状の観察と早期対応(例:むくみや発熱など)
医療処置
- 点滴、注射、カテーテル管理
- 吸引、酸素療法
- 褥瘡(床ずれ)処置、創傷ケア
日常生活の支援
- 清拭、入浴介助(医療的観察が必要な場合)
- 排泄介助、排便コントロール
リハビリテーション
- 拘縮予防や筋力維持のための運動指導
- ADL(日常生活動作)訓練
認知症・精神疾患への対応
- 行動観察、家族への助言
- 精神科訪問看護(指定事業所のみ)
ご家族への支援・相談
- 医療機器の使い方説明
- 看取りの相談と緩和ケア支援
利用料と保険の適用
訪問看護は、介護保険または医療保険のどちらかが適用されます。
介護保険が適用されるケース
- 要介護・要支援認定を受けている65歳以上の方
- ケアプランに基づいてサービスが提供されます
【自己負担】
原則1割(所得に応じて2〜3割)
【費用の目安(1回につき)】
30分未満:約500円〜800円
30分〜1時間未満:約800円〜1,100円
※加算項目あり(早朝・夜間、特別管理加算など)
医療保険が適用されるケース
- 65歳未満で医療的ケアが必要な方
- 65歳以上でも医療的ニーズが高く、医師が必要と判断した場合
- 厚生労働省が定める「特別指示期間(14日以内)」など
【自己負担】
原則3割(高齢受給者証ありの場合は1割〜2割)
医療保険と介護保険のどちらを使うかの基準
訪問看護の利用にあたっては、「医療と介護、どちらの保険を使うか」が重要になります。原則は以下のとおりです:
- 要介護認定を受けている場合:介護保険が優先
- 医師の特別指示がある場合や医療的処置が必要な場合:医療保険が適用されることがある
判断は、主治医やケアマネージャー、訪問看護ステーションと相談しながら進めるのが一般的です。
訪問看護を利用するには
- 主治医に相談して「訪問看護指示書」を発行してもらう
- 訪問看護ステーションと契約
- 訪問スケジュールを調整してサービス開始
介護保険を使う場合は、ケアマネージャーを通してケアプランに組み込む必要があります。
まとめ
訪問看護は、病気や障がいがあっても自宅で安心して生活を続けるために、医療と生活の両面を支える大切なサービスです。看護師が家庭を訪れて行う医療的な支援は、本人だけでなく家族にとっても心強い存在になるはずです。制度の違いや利用の流れを理解し、状況に応じた支援を活用していくのがよいと思います。