親から「もう何もしたくない」「疲れたから放っておいてほしい」と言われたとき、どう声をかければよいのか迷うことがあります。励ましたほうがよいのか、それともそっとしておくべきなのか、正解が分からず戸惑う場面もあるかもしれません。
こうした言葉の背景には、体力の低下だけでなく、気力の衰えや不安、先の見通しが立たないことへの諦めが含まれている場合があります。まずは言葉そのものを否定せず、「そう感じている状態がある」という事実として受け止める姿勢が大切かと思います。
「やる気を出させよう」としない
「気合を入れよう」「まだできるでしょ」といった言葉は、前向きなつもりでかけていても、本人にとっては気持ちを理解してもらえなかったと感じるきっかけになることがあります。元気づけることよりも、今の気持ちをそのまま聞くことを優先したほうが、会話が落ち着くことがあります。
たとえば「何もしたくないんだね」「そう思うほど疲れているんだね」といった返しは、行動を促す言葉ではありませんが、気持ちを受け止めたことが伝わります。
理由を無理に聞き出さない
「どうしてそう思うの?」と理由を尋ねたくなることもありますが、本人がうまく言葉にできない状態のこともあります。その場合、問いかけを重ねることで負担になることもあります。
言葉が出てこない様子であれば、「今は話さなくてもいいよ」「落ち着いたらで大丈夫だよ」と伝えることで、気持ちを整理する時間を確保できます。
小さな選択肢だけを示す
「何もしたくない」と言われたときに、いきなり大きな提案をすると、かえって気持ちが閉じてしまうことがあります。外出や運動といった話題ではなく、「今は横になる?それとも座ってお茶を飲む?」など、負担の少ない選択肢を示すほうが受け入れられやすい場合があります。
行動を増やすことよりも、今の状態を少し楽にすることに焦点を当てると、会話が途切れにくくなります。
沈黙をそのまま共有する
何か言葉をかけなければと焦る必要はありません。同じ空間で静かに過ごすこと自体が、安心につながる場合もあります。テレビを一緒に見る、同じ部屋でそれぞれ過ごすといった時間も、立派な関わり方の一つです。
家族だけで抱え込まない
この状態が続く場合、家族の声かけだけで状況を変えようとするのは負担が大きくなりがちです。地域包括支援センターやケアマネジャーに相談すると、訪問サービスの利用や生活リズムの調整など、第三者の関わり方を含めた選択肢を整理できます。
家族とは違う立場の人が関わることで、本人が気持ちを表に出しやすくなることもあります。
「何もできない時間」も生活の一部と考える
何かをしなければならない時間だけが生活ではないかと思います。休むこと、何もしないことも、その人の状態に合わせた過ごし方の一つです。無理に変えようとせず、今の状態を前提に関わり方を考えることで、家族側の気持ちも少し落ち着きます。
親の言葉にどう返すか悩んだときは、「何を言うか」よりも「どう一緒にいるか」を意識してみることが、結果として関係を保つ助けになる場合があります。
