ケアプランの作成は、利用者本人と家族の希望や生活状況をケアマネージャーに正確に伝えることから始まります。
介護サービスは個々の暮らしに合わせて提供されるべきものとされていますので、「できないこと」だけでなく、「続けたいこと」や「大切にしている日課」なども重要な情報となります。本人にとって無理のない計画を立てるためには、体調や生活習慣、家族構成、現在の不安など、些細なことでも積極的に共有することが大切になります。
ケアマネージャーに伝えること
- 日常生活で困っていること(排泄・移動・調理・入浴など)
- 慢性的な疾患や服薬、定期的な通院の有無
- 家族の支援体制や、介護にかけられる時間や負担
- 今後の生活の希望(例:できるだけ自宅で過ごしたい、趣味を続けたい)
- サービスに対する不安や過去の経験(例:以前の施設で合わなかったこと)
このような事前の情報提供によって、利用者にとってより実現可能で納得感のあるケアプランの構築がしやすくなります。
課題分析と原案作り
ケアマネージャーは、面談やアセスメント(聞き取り・観察)を通して、本人の心身の状態や生活課題を整理します。
たとえば、「食事の用意が困難だが、味の好みにこだわりがある」「週に一度は外出したいが、体力的に不安がある」など、さまざまな視点から課題を捉えることが求められます。
課題分析の視点例
- 身体機能(日常動作の可否)
- 精神・認知機能(理解力や意思疎通の状態)
- 社会的背景(同居家族、住環境、近隣支援)
- 本人の意思・価値観(望む暮らし方、優先順位)
これらをもとに、ケアマネージャーがサービスの種類や利用頻度を整理し、ケアプランの「原案」を作成します。
原案の中には、訪問介護、通所リハビリ、ショートステイ、福祉用具貸与などが組み込まれることが一般的です。本人の生活目標を達成するために、どのサービスがどの程度必要かを論理的に構成します。
原案の確認ポイント
ケアプランの原案が完成すると、ケアマネージャーが本人・家族に説明し、確認を求めます。この段階での同意が、サービス提供に進む条件になります。以下のような点をチェックしながら内容を確認していきます。
確認しておきたい点
- 本人の希望(例:週2回は外出したい)が反映されているか
- 不安な点や過度な負担が含まれていないか
- 利用予定のサービスに納得できているか
- 提供時間・曜日・回数が生活スタイルに合っているか
- 事業者の担当者や施設に関する説明が明確か
確認後、内容の修正や補足が必要であれば、遠慮なく申し出ることが望ましいです。プランは一度作ったら終わりではなく、生活や体調の変化に応じて定期的に見直しされます。
サービス担当者会議とは
原案の確認が済んだら、「サービス担当者会議(サービス調整会議)」が開かれます。この会議は、ケアマネージャーを中心に、サービス提供事業者(訪問介護員、デイサービス職員、リハビリスタッフなど)と、本人・家族が出席して、ケアプランの実行について意見を交換する場です。
基本的に利用者の自宅で行われます。会議では、次のような内容が話し合われます。
- 各サービスの目的と内容(誰が、何を、どのように提供するか)
- 各事業者間の情報共有と連携方法
- 緊急時の対応や連絡体制の確認
- 利用者本人の意見や要望の再確認
この会議で同意が得られると、ケアプランが「正式プラン」として確定され、各サービスが実際に提供されることになります。サービス開始後も、ケアマネージャーがモニタリングを続け、必要に応じてケアプランの再調整を行います。
参考資料
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」
- 各市町村の居宅介護支援ガイドライン