小規模多機能型居宅介護は、介護保険サービスのひとつで、「通い」「訪問」「泊まり」を柔軟に組み合わせて利用できる」のが大きな特徴です。利用者の生活状況や体調の変化に応じてサービスを切り替えられるため、在宅生活を続けたい高齢者や家族にとって心強い仕組みです。
地域密着型サービスのため、利用できるのは原則として同じ市町村に住んでいる方に限られます。また、定員は25名程度と少人数制で、顔なじみの職員が継続的に関わるので、安心感があるのも特徴です。
小規模多機能型居宅介護に「訪問看護」を加えた看護小規模多機能型居宅介護(通称:看多機)というサービスもあります。介護だけでなく、看護師による医療的ケアや健康管理を在宅で受けられるのが特徴で、医療ニーズの高い方や在宅での看取りを希望する方にも対応できます。
対象者
- 小規模多機能型居宅介護
- 要介護1〜5の方(要支援者は「介護予防小規模多機能型」として利用可能)
- 自宅で暮らし続けたい方、認知症や身体機能の低下で複合的な支援が必要な方
- 看護小規模多機能型居宅介護
- 要介護1〜5の方で、介護とあわせて医療的ケアも必要な方
- 在宅酸素・カテーテル管理・褥瘡ケア・服薬管理などが必要な方
- 在宅での看取りを希望している方
提供されるサービス内容
共通(小規模多機能型)
- 通い:食事・入浴介助、レクリエーション、機能訓練など
- 訪問:安否確認、服薬や排泄の介助、家事支援、外出支援など
- 泊まり:家族の都合や急な体調変化時に短期宿泊可能。夜間もスタッフが見守り
看多機
- 訪問看護:看護師が医師の指示書に基づいて医療的処置を行う
(点滴、在宅酸素、褥瘡処置、カテーテル管理など) - 健康状態の観察や生活指導
- 在宅での看取りに向けた支援
利用料金の目安(1割負担の場合/月額定額制)
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小規模多機能型居宅介護
要介護1:約12,000円前後
要介護3:約24,000円前後
要介護5:約35,000円前後 -
看護小規模多機能型居宅介護
要介護1:約13,000円前後
要介護3:約27,000円前後
要介護5:約38,000円前後
※食費・宿泊費(1泊2,000〜3,000円程度)や医療材料費は別途必要です。
利用の流れ
- ケアマネージャーや地域包括支援センターに相談
- 事業所の見学・説明を受ける
- ケアプランに位置づけ、契約
- 「通い・訪問・泊まり」や「訪問看護」を必要に応じて使い分けながらサービス開始
メリットと注意点
メリット
- 通い・訪問・泊まりを一体的に利用できる
- 顔なじみの職員が対応するため、安心感がある
- 家族の介護負担を軽減できる
- 看多機なら医療ニーズがある方も在宅生活を続けやすい
注意点
- 利用できるのは市町村内の事業所に限られる
- 定員が少ないため、希望しても空きがない場合がある
- 看多機は医療体制が必要な分、事業所の数が限られている
まとめ
小規模多機能型居宅介護は、日常生活を地域で支えながら自宅での暮らしを続けられるようにする仕組みです。さらに看護小規模多機能型居宅介護(看多機)では、医療ケアまで含めて一体的にサポートが受けられるため、介護と医療の両面で安心を求めたい方に向いています。
まずはケアマネージャーや地域包括支援センターに相談し、事業所の特徴や空き状況を確認しておくのがよいと思います。